医療介護現場の管理者が知っておきたい「共感」と「同調」の違いと活用法

スタッフや患者との関係性を深めるために欠かせないスキルの一つが「コミュニケーション」です。特に、医療介護の現場で重要になるのが、相手の感情や意見をどう理解し、対応するかという点。その中で、特に混同されやすいのが「共感」と「同調」です。この2つの違いを理解し、適切に使い分けることが、管理者としての信頼構築や現場の調和に大きく寄与します。


「共感」と「同調」の違いを知る

まず、それぞれの言葉の意味を明確にしましょう。

  • 「同調」:相手の意見や態度に(たとえ本音では反対であっても)自分の言動を合わせること。
    例)職場の空気に流され、周りと同じ意見に合わせる。
  • 「共感」:相手の感情を本心から理解し、その感情を共有しようとすること。
    例)スタッフの苦労話に耳を傾け、相手の気持ちに寄り添う。

同調は、一見すると場の空気を壊さないための便利な方法に見えますが、必ずしも良い結果を生むとは限りません。特に、ネガティブな事柄に同調すると、問題が拡大する可能性があります。一方で、共感は相手の感情を受け止めることで、信頼関係を深め、建設的な解決策を導く基盤を作るのに役立ちます。


「共感」と「同調」を区別することの重要性

医療介護の現場では、同調によって次のようなリスクが生じる可能性があります。

  1. ネガティブな意見が拡大する
    同調されたことで相手が勢いづき、問題行動や愚痴がエスカレートすることがあります。
  2. 自分の信念を失う
    本心とは違う意見に合わせ続けることで、ストレスを感じたり、自分の価値観を見失ったりする可能性があります。
  3. 信頼の欠如
    相手に「本音ではない」と感じられることで、信頼関係が損なわれることもあります。

一方で、「共感をするが、同調はしない」というスタンスを取ることで、以下のような効果が得られます。

  • スタッフが安心して意見を述べられる環境が生まれる。
  • 困難な状況でも、冷静に対応できるリーダーとしての信頼を得られる。
  • チーム全体の調和と生産性が向上する。

コミュニケーションスキルで「共感」を効果的に引き出す

「共感」を深めるために活用できる具体的なコミュニケーションスキルをご紹介します。

  1. ペーシング
    相手のペースに合わせることで、リズムや話し方の調和を図り、安心感を提供します。
    例)落ち着いた話し方のスタッフには同じようなトーンで応じる。
  2. リフレイン
    相手の発言をそのまま繰り返すことで、相手に「受け止められている」と感じてもらいます。
    例)「最近、仕事が大変で……」→「仕事が大変なんですね」

これらを意識することで、相手は「共感されている」と感じやすくなり、同調では得られない深い信頼を築くことができます。


データで見る「共感」の効果

研究によると、共感を活用したコミュニケーションを実践するリーダーの下では、次のような効果が確認されています。

  • 職場エンゲージメントの向上:Gallup社の調査によれば、共感力の高いリーダーの下では、従業員のエンゲージメントが20%以上向上することが示されています。
  • ストレスの軽減:共感を受けたスタッフは、職場でのストレスを20%軽減できると報告されています(出典:心理学研究)。
  • 離職率の低下:共感的なコミュニケーションを行う管理者の下では、スタッフの離職率が15%低くなる傾向があります(出典:Journal of Applied Psychology, 2017)。

    上記データの参照URL https://buzzkuri.com/columns/engagement/8209/?utm_source=chatgpt.com

医療介護の現場で「共感」を実践するヒント

  1. ネガティブな同調を避ける
    特にイジメや職場内トラブルの際には、流されるのではなく、冷静な視点を持つよう心がけましょう。
  2. 建設的な質問をする
    「それを改善するために、何ができると思いますか?」といった質問で、相手の自己解決能力を引き出します。
  3. フィードバックを重視する
    相手の意見に対して感謝や肯定的なフィードバックを行いましょう。

「共感」と「同調」を活かした職場づくりを

医療介護の現場では、管理者がスタッフの感情や意見をどう受け止めるかが、チーム全体のパフォーマンスに直結します。「共感はするけど、同調はしない」という姿勢を心に留め、日々のコミュニケーションに活かしてみてください。信頼関係を築き、スタッフと患者にとってより良い環境を共に作り上げていきましょう。

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山田真伸

執筆者:山田 真伸

Be a Smile代表

研修講師
理学療法士
国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ
一般社団法人コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup認定ストレングスコーチ

20年で12,000人のリハビリを担当する現役の理学療法士でありながら、病院・介護施設向けの企業研修110件以上、830時間以上の個別セッションの経験を持つコーチ。

  • 病院(リハ科)、介護(訪問看護、訪問リハ、通所リハ)事業所向け
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  • リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
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