叱ることも承認?コーチング視点で見直す医療介護従事者が知っておきたい“承認”の本質

「承認=褒めること」と思われがちですが、実はそれだけではありません。
本記事では、医療・介護現場のリーダーに向けて、存在・変化・結果の3つの承認や、叱ることも承認になる理由、ゴットマン率に基づく承認のバランス、そして“受け取る力”の大切さまでを解説します。
今日から始められる実践的なヒントとともに、「承認の文化」を育てる一歩をお届けします。

「承認=褒めること」ではない? 本当の意味を知ろう

「承認」という言葉を聞くと、多くの人は「褒めること」と思い浮かべるかもしれません。
もちろん、褒めることも承認の一部ですが、それがすべてではありません。

医療・介護の現場でリーダーとして関わる立場になると、「何を伝えるか」だけでなく、「どう伝えるか」「どんな意図で伝えるか」が問われます。
だからこそ、コーチングの視点から“承認”の本質を見直すことが大切です。

コーチングにおける承認とは、相手を「評価する」のではなく、「そのまま認める」こと。
スキルや結果に関係なく、その人の存在や努力に目を向ける姿勢です。


存在・変化・結果――3つの承認を使い分ける

承認には、大きく3つの種類があります。

  • 存在承認:「あなたがいてくれて嬉しい」「そばにいて安心する」など、成果や行動に関係なく“その人の存在”を認めるもの。
  • 変化承認:「最近、落ち着いて行動できるようになったね」など、小さな成長や変化に気づいて伝えるもの。
  • 結果承認:「ありがとう、今日の対応すごく助かったよ」など、目に見える成果を認めるもの。

特にリーダーに求められるのは、存在承認です。
「自分はここにいていい」と安心できる環境が、人の力を引き出します。

また、「叱ること」も、実は承認の一つ。
相手を信じているからこそ、時に厳しい言葉を伝えるのです。
もちろん、怒りではなく「信じているからこそ伝える」姿勢であることが前提です。


ゴットマン率から学ぶ、ポジティブとネガティブのバランス

心理学者ジョン・ゴットマンの研究では、信頼関係を築くにはポジティブとネガティブの関わりに理想の比率があると示されています。

  • 夫婦関係:5対1
  • 職場の人間関係:3対1
  • 高パフォーマンス組織:6対1

つまり、1回注意や指摘をするなら、その前後で3〜6回のポジティブな承認が必要。
「ありがとう」「助かったよ」「安心したよ」などの声かけが、信頼の土台をつくります。

また、承認は言葉だけではありません。
目を見てうなずく、声のトーン、そっと近づく距離感――
非言語のメッセージも、「あなたを見てるよ」としっかり伝わる大事な承認です。


承認はキャッチボール。受け取る力が届ける力に変わる

承認を「届ける側」になるには、まず自分自身が承認を“受け取る”力を育てることが大切です。

「すごく丁寧な対応だったね」と言われて、つい「いえいえ、全然…」と返してしまう。
そんな経験はありませんか?

承認の言葉を否定する癖があると、自分も他者に承認を返すことも難しくなります。
「ありがとうございます」と素直に受け取ることが、承認の循環を生み出す一歩になります。

承認は、一方通行ではなくキャッチボール。
投げたら受け取ってもらう、受け取ったら返す。
リーダーがその姿勢を見せることで、チームにも承認の文化が育っていきます。


現場の事例と、実践のための問いかけ

ある夜勤明けの新人職員に、先輩が声をかけました。
「夜勤お疲れさま。いてくれるだけで安心できたよ」――これが存在承認です。
新人は「ここにいていい」と感じ、自信を持てるようになりました。

別の場面では、「最近、利用者さんとの会話、自然になってきたね」と言われた新人が、
「見てくれてる」と嬉しくなり、さらに前向きに関わるようになったそうです。
これは変化承認です。

一方、「今日の対応、完璧だったよ。ありがとう!」という結果承認ももちろん大切。
ただし、結果だけに偏ると「うまくいかない時の自分は認められないのでは」と不安になる人もいます。

3つの承認をバランスよく届けることが、信頼とやる気を引き出します。

ここで、少し立ち止まって自分に問いかけてみてください。

  • あなたは、最近誰かに承認されたと感じましたか?
  • それは、どんな言葉で、どのような承認でしたか?
  • その言葉を、素直に受け取れましたか?
  • いま、あなたが届けたい承認の言葉は何ですか?

私たちは、自分が経験したことから、他者への関わり方を学びます。
「どのように承認されてきたか」「どのように承認してきたか」
この問いを持ち続けることが、リーダーとしての“あり方”を磨いてくれるのです。


まとめ:承認された人は、人を承認できる

承認とは、相手の“存在に光を当てる”こと。
そしてその光は、また次の誰かに照らされていきます。

承認された人は、人を承認できる。

リーダーであるあなたが、まずは自分を認め、
そして目の前の誰かに温かいまなざしを向けることで、
その場は少しずつ変わっていきます。

承認は、特別なスキルではありません。
今日から始められる、小さなひと言、ふとした仕草。

それが、チームの空気を変え、対話と信頼の文化を育てていきます。

さあ、今ここから。
あなたの職場に、承認の循環を育ててみませんか?

Be a Smileの研修の特徴

医療介護現場では、スタッフ間や利用者とのコミュニケーションが円滑であることが、現場の質を高める重要なカギとなります。
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山田真伸

執筆者:山田 真伸

Be a Smile代表

研修講師
理学療法士
国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ
一般社団法人コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup認定ストレングスコーチ

20年で12,000人のリハビリを担当する現役の理学療法士でありながら、病院・介護施設向けの企業研修110件以上、860時間以上の個別セッションの経験を持つコーチ。

  • 病院(リハ科)、介護(訪問看護、訪問リハ、通所リハ)事業所向け
    カスタムメイド式の企業研修
  • リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
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