医療介護の管理職が目指したい「関係の質」を高めるリーダーシップ

【本記事の要約】

医療介護現場で管理職として求められる役割は多岐にわたります。単に業務を管理するだけでなく、スタッフが自ら動き、協力し合うチームを育てることが重要です。その鍵となるのが「関係の質」を高めることです。関係の質は、チームの信頼を深め、働きやすい環境を作り、最終的には利用者へのサービスの質向上につながります。この記事では、ダニエル・キム氏が提唱した「成功の循環モデル」をベースに、医療介護現場で管理職が「関係の質」を高めるための具体的な方法を紹介します。


成功循環モデルと医療介護現場への応用

成功循環モデルでは、組織やチームの成功を「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」という4つの要素の連関として捉えます。この中でも特に重要なのが「関係の質」です。なぜなら、関係の質が高まると信頼や協力が生まれ、それが思考や行動の質を引き上げ、結果として成果の質の向上につながるからです。

しかし、現場がうまく機能していないと、管理職は「結果の質」ばかりに目を向けがちです。例えば、「利用者満足度を上げる」「業務効率を改善する」といった短期的な成果を求めて、スタッフに過度なプレッシャーをかける場面が見られます。このようなアプローチでは、成果を出すことを優先するあまり、チーム内の信頼が損なわれ、かえってスタッフが疲弊するという悪循環に陥りがちです。

一方、上手くいっている組織は違います。彼らはまず「関係の質」を向上させることから取り組みます。メンバー同士が互いに信頼し合い、安心して意見を交換できる環境を整えることで、結果として成果の質も向上していくのです。


関係の質を高めるための3つの行動:「聴く」「認める」「伝える」

管理職が「関係の質」を高めるためには、日々のコミュニケーションを見直すことが重要です。特に有効なアプローチが「聴く」「認める」「伝える」という3つの行動です。

聴く:スタッフの声に耳を傾ける

信頼関係を築くためには、まず管理職自身がスタッフの声を丁寧に聴く姿勢を示すことが大切です。ただし、「聞く」のではなく「聴く」ことがポイントです。

  • スタッフの不安や課題を引き出す:忙しい業務の中でも、スタッフが話しやすい環境を整える。
  • 態度や姿勢で示す:相槌やうなずきなどで、相手が受け入れられていると感じられるようにする。

「自分の声が届いている」と感じたスタッフは、管理職への信頼を深め、チームへの帰属意識を高めます。

認める:努力や成果を評価する

人は誰しも、認められることでモチベーションが向上します。管理職は、日々の些細な努力や成果にも目を向け、具体的にフィードバックを行うべきです。

  • 成果を具体的に褒める:「利用者への対応がとても丁寧でした」といった具体的なフィードバックを心がける。
  • 小さな貢献も見逃さない:「忙しい中、ミーティングの資料を準備してくれてありがとう」といった日常の努力を認める。

認める行動を積み重ねることで、チーム全体のモチベーションが高まります。

伝える:透明性と一貫性を保つ

管理職は、チームの目標や方針を明確に伝えるとともに、スタッフ一人ひとりが安心して働ける環境を整える必要があります。

  • チームのビジョンを共有する:「私たちが目指しているのは、利用者が安心してサービスを受けられる現場です」といった目標を繰り返し伝える。
  • 誠実で透明性のある説明:困難な状況でも、事実を隠さずにスタッフと共有し、解決に向けた協力を求める。

「伝える」行動を通じて、チーム全体の方向性が統一され、一体感が生まれます。


結果に焦点を当てる前に、関係を築く

現場で成果を求めること自体は必要です。しかし、結果だけに焦点を当てると、チーム全体が疲弊し、関係の質が低下します。結果として、短期的な目標は達成できても、長期的な持続可能性が損なわれることがあります。

一方で、関係の質を高めることに取り組めば、スタッフが安心して働ける環境が整い、結果として思考や行動が改善され、最終的に質の高い成果が得られます。関係の質を土台として築かれた成果は、チーム全体に持続的な成長をもたらします。


おわりに

医療介護現場における管理職の真価は、チーム全体の「関係の質」をいかに高められるかにかかっています。「聴く」「認める」「伝える」というシンプルな行動を実践することで、チームの連携が深まり、利用者へのサービスの質が向上します。

管理職として、目指すべきは「結果」ではなく「関係の質」を土台にした成功の循環です。あなたのリーダーシップが、現場をより良い未来へと導く鍵となるのです。

医療介護管理職 #関係の質 #成功の循環モデル #医療チームの連携 #信頼関係の構築 #スタッフモチベーション向上 #医療現場のリーダーシップ #チームビルディング #聴く・認める・伝える #サービスの質向上

Be a Smileの研修の特徴

医療介護現場では、スタッフ間や利用者とのコミュニケーションが円滑であることが、現場の質を高める重要なカギとなります。
「Be a Smile」では、豊富な実績と専門知識をもとに、スタッフ同士の連携を深め、利用者の満足度を向上させるコミュニケーション研修を提供しています。

こんな悩みはありませんか?

  • スタッフ間の意思疎通がうまくいかない
  • 利用者との信頼関係が築けず、ケアの質に影響が出ている
  • チームワークを強化したいが、どうアプローチすべきかわからない

これらの課題を解決するために、「Be a Smile」の研修が役立ちます。


研修の特徴

  1. 実践的なスキル習得
     講義だけでなく、ワークショップ形式で体験しながら学べる内容です。スタッフが日々の現場で即活用できる具体的なスキルを提供します。
  2. カスタマイズ可能なプログラム
     施設の課題やスタッフの特性に合わせて研修内容を調整。貴施設のニーズに応じたオーダーメイドの研修をご提案します。
  3. 専門的なコーチングアプローチ
     ICF認定プロフェッショナルコーチが、最新のコーチングスキルを活用し、個々のスタッフの成長をサポートします。

研修内容の一例

チームワークを強化する方法
スタッフ同士の信頼関係を築くコミュニケーション法を具体的に学びます。

コミュニケーションの基本原則
自分も相手も大切にするコミュニケーションのポイントを学びます。

アクティブリスニング(積極的傾聴)の練習
相手の話を深く理解し、的確に応答するスキルを習得します。

お問合せ先

「コミュニケーションスキル研修で、現場の質を高めませんか?」
研修の詳細やお見積もりは、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
→ お問い合わせフォーム

「Be a Smile」は、スタッフと利用者の幸せを繋ぐコミュニケーションの輪を広げます。

山田真伸

執筆者:山田 真伸

Be a Smile代表

研修講師
理学療法士
国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ
一般社団法人コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup認定ストレングスコーチ

20年で12,000人のリハビリを担当する現役の理学療法士でありながら、病院・介護施設向けの企業研修110件以上、850時間以上の個別セッションの経験を持つコーチ。

  • 病院(リハ科)、介護(訪問看護、訪問リハ、通所リハ)事業所向け
    カスタムメイド式の企業研修
  • リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
    リーダー向けコーチングセッション

についての個別相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。