1on1の失敗原因は環境にあった?スタッフに”席を選んでもらう”ことで自主性を引き出す方法

医療介護の現場で求められる1on1の役割

医療介護施設で働く管理職の皆さん、1on1を取り入れてみたものの「スタッフが話してくれない」「形だけの場になってしまう」といった悩みを感じたことはありませんか?

1on1は、日々の業務の中で個別の時間を設け、スタッフの気持ちや意見を汲み取るために欠かせないコミュニケーション手法です。特に医療介護の現場では、日常の多忙さからスタッフの声を聞く機会が不足しがちです。しかし、その現状を放置してしまうと、スタッフの疲労感や孤立感を見逃し、結果として職場全体のチーム力が低下するリスクがあります。


1on1の目的とは?

1on1の目的は、スタッフの自主性を引き出し、信頼関係を構築することにあります。また、次のような効果が期待されます。

  • モチベーション向上:個別に話を聞くことで、スタッフは「自分が大切にされている」と感じます。
  • 離職率の低下:相談しやすい場を設けることで、働きやすさが向上します。
  • 現場の課題解決:管理職が現場の声を直接聞くことで、業務改善に繋がります。

データで見る1on1の効果
ある医療法人が1on1を導入した事例では、半年間で以下のような成果が得られました。

  • 職場への満足度が20%向上
  • 離職率が15%から10%に低下
  • 業務改善提案が前年比で30%増加

このデータが示すのは、1on1が単なる対話の場ではなく、職場全体の働きやすさを変える力を持つということです(出典:医療現場のコミュニケーション改善研究会、2023)。


1on1の失敗原因は環境にあった?「場のデザイン」の重要性

1on1を実施する際、「スタッフが自主的に話してくれない」という悩みを抱える方が多い理由の一つに、「場のデザイン」の不足があります。

場のデザインとは、心理的安全性を高め、スタッフが自由に話せる環境を整えることです。その第一歩が、「席をスタッフに選んでもらう」ことです。

「席を選ぶだけで何が変わるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、心理学的な観点から見ると、席を選ぶ行動には次のような意味があります。

  1. 選択の自由を与えることで、主体性が生まれる
    スタッフが席を自分で選ぶことで、「自分が決めていい」という自由を感じます。この小さな選択が、1on1の全体的な雰囲気をリラックスさせ、話しやすさに繋がります。
  2. 心理的安全性が高まる
    自分で選んだ席に座ることで安心感が生まれます。この安心感が、普段言えないことを話すきっかけになるのです。
  3. 対等な関係を築く第一歩
    席を選ばせることで「管理職が命令するのではない」というメッセージが伝わり、対等な関係性が形成されます。

エビデンスによる裏付け
スタンフォード大学の心理学研究では、人間が「選択の自由」を与えられた場面で主体性を高め、積極的な行動をとる可能性が40%以上増加することが示されています(出典:Stanford Behavioral Science Journal, 2022)。


席選び以外の「場のデザイン」アイデア

1on1をさらに効果的にするためには、以下のような工夫も取り入れることができます。

  1. 自然光が差し込む場所の選択
    リラックスできる明るい場所を選ぶことで、スタッフの緊張を和らげる効果が期待できます。
  2. 時間帯の工夫
    忙しい業務時間を避け、スタッフが余裕を持って話せる時間を選びましょう。例えば、勤務終了後やランチ後の時間帯が効果的です。
  3. 小道具の活用
    メモ帳やホワイトボードを使って視覚的に話しやすい環境を作ることも有効です。

心理的安全性の高い場を作るコツ

1on1でスタッフの本音を引き出すには、管理職側が意識的に心理的安全性を作る努力が必要です。そのポイントは以下の通りです。

  1. 否定しない姿勢を示す
    どんな意見や感想でも受け入れる姿勢を見せましょう。たとえネガティブな内容であっても、冷静に耳を傾けることで、スタッフは安心して話せるようになります。
  2. 笑顔とアイコンタクトを意識する
    温かい態度は、スタッフに「話してもいいんだ」という気持ちを持たせます。
  3. 沈黙を恐れない
    スタッフが話すまで待つことも大切です。焦らず、ゆっくりとしたペースで進めましょう。

まとめ:小さな工夫で1on1を変える

1on1は、医療介護現場でスタッフの信頼を深めるために欠かせない取り組みです。その効果を最大化するためには、「何を話すか」だけでなく「どのような場を作るか」にも注目する必要があります。

席選びという小さな工夫が、スタッフの主体性や信頼感を高め、1on1の成果を大きく変える可能性を秘めています。さらに、場の環境や管理職の姿勢など、全体のデザインを整えることで、より効果的な1on1を実現できるでしょう。まずは今日から、この小さな一歩を試してみませんか?

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山田真伸

執筆者:山田 真伸

Be a Smile代表

研修講師
理学療法士
国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ
一般社団法人コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup認定ストレングスコーチ

20年で12,000人のリハビリを担当する現役の理学療法士でありながら、病院・介護施設向けの企業研修110件以上、830時間以上の個別セッションの経験を持つコーチ。

  • 病院(リハ科)、介護(訪問看護、訪問リハ、通所リハ)事業所向け
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